無いと気づいた途端に必要になるもの
あ、ハンカチ忘れた。
そう思うと途端に汗が流れる。
ティッシュあったっけな。
そう思ったときにはただ持っているかどうかが気になっただけなのに、
あ、無いや。
認識した途端に鼻がぐずぐずし始めたり、なにかをこぼしたりしてしまう。
必要になる、と無意識に判断したから考えて、結果やっぱり必要だということなのか。
無いことに気づかなければ、そのまま無しですごせてしまうこともあるような気もするのに、無いと気づいた途端に必要になって困ることがある。
このあいだ、断捨離でもおなじことがあった。
いつか使うかも、というものは滅多に使われない、処分してしまってよし。私もこの考えに賛成で、これまでいくつもお別れした物がある。
それがこのあいだ、処分した翌日に必要になり、なんだ必要になることもあるじゃないか、という気持ちになった。
それはステレンレスの特大クリップだった。
A5サイズのノートだったら長さの三分の二に届くくらいのクリップ。厚めの本を傷付けずに開いたままにしておける、「つ」の字型のクリップ。
本を開きっぱなしで置いておく必要があったときに購入し、その後、何年も、一度も使用していなかった。持っていることすら忘れていたのだけれど、片付けをしていたらころりと出てきた。
うーん、いつか使うかな。使うかも。でも待てよ、最後に使ったのいつだ? 思い出せないくらい前じゃないか。
考えて、ヨシっと思いきった。
そしたら次の日、分厚い本の数ページを、参考として全文拾い起こす必要がでちゃった。本は自然には開いたままにしておけない代物だった。
あー、これを留めておければ。頭には巨大クリップが浮かんだ。けど昨日。。。
スマホを重しにして場所を移し移し、なんとか作業をしたけれど、途中何度も、「ああ、あのクリップがあれば」と思わずにはいられなかった。
いつか使うかも、のいつかがすぐに訪れることもある。
これだから、なんでも取っておきたくなっちゃうのかもしれない。
なるべくものは持たずにと思っている私も、ちょっと迷いが生じたよ。有事の際に買い置きやストックがないのも困ることがあると、今年は身をもって感じたこともあるし。
ものを持たずにスッキリ暮らすか、多少ものが増えても心配や後悔を極力減らして暮らすか。二択じゃないけど、どっちがいいんだろうなぁ、と、なんだか悩ましくなりました。
無いと気づいた途端に必要になるものはある。